数学で英語を勉強するブログ

昔数学を嗜んでいた社会人が苦手な英語の勉強をするブログです。数学の話題も扱っていきます。

Schlenkサーベイ-Fine Structure-その1

こんにちは!GiTaNです!

今日はシンプレクティック埋め込みの3つ目の結果である the fine structure of symplectic rigidity(長いのでFine Structureと略しています)について見ていくための準備をします!

◆Fine Structure

今回考える埋め込みは、Ellipsoid E(1,a)を Cube C(A)に埋め込む問題です。つまり次の関数を具体的に書いたらどうなるか考えることになります:

c_{EC}(a)=\inf\{A|E(1,a)\hookrightarrow C(A)\}.

結果を書き下すのに必要になってくるのが、次で定義されるPell numbers Pおよびhalf companion Pell numbersHという数列です:

P_0=0,P_1=1,P_n=2P_{n-1}+P_{n-2},
H_0=1,H_1=1,H_n=2H_{n-1}+H_{n-2}.

Wikipedia にも詳しい記事がありました。【参考:Pell number - Wikipedia

どうやら隣接する項の比がシルバー比 \sigma = 1+\sqrt{2} に収束していくようなフィボナッチ数列的な数列みたいですね。

ここで、次の数列 \gammaを考えます:

(\gamma_1,\gamma_2,\gamma_3,\cdots)=(\frac{P_1}{H_0},\frac{H_2}{2P_1},\frac{P_3}{H_2},\frac{H_4}{2P_3},\frac{P_5}{H_4},\cdots)=(1,\frac{3}{2},\frac{5}{3},\cdots).

このとき、\gamma_{2n}=\frac{H_{2n}}{2P_{2n-1}},\gamma_{2n+1}=\frac{P_{2n+1}}{H_{2n}} より、\gamma_{2n}\gamma_{2n+1}=\frac{P_{2n+1}}{2P_{2n-1}}=\frac{1}{2}\frac{P_{2n+1}}{P_{2n}}\frac{P_{2n}}{P_{2n-1}} なので、\gammaの収束先\alphaが存在すると仮定すれば*1\alpha^2 = \frac{\sigma^2}{2} となり、明らかに\alphaは正なので、\alpha = \frac{\sigma}{\sqrt{2}}とわかります。

この数列 \gamma を使って、Pell stairs というグラフを作ります。若干説明が複雑です:

  1. 区間[1,\sigma^2]上にy=\sqrt{\frac{x}{2}}のグラフVを描く
  2. P_1=(1,1)からy=\gamma_1のグラフをVにぶつかるまで引き交点Q_1=(2,1)を得る
  3. Q_1と原点を結んだ直線とy=\gamma_2のグラフの交点をP_2とする
  4. Step2とStep3を帰納的に繰り返す
  5. 上で得られた点列P_1,Q_1,P_2,Q_2,P_3,\cdotsを順番に直線でつなぎ目的のグラフを得る

以上、次回はこれを使って定理を書いてみようと思います!

 

*1:数列が上に有界なことも、P_n+H_n=P_{n+1}に注意すると、ざっくりですぐ証明できますね