数学で英語を勉強するブログ

昔数学を嗜んでいた社会人が苦手な英語の勉強をするブログです。数学の話題も扱っていきます。

最近読んだプレプリント

こんにちは!GiTaNです!

今日は、H. Geiges - What does a vector field know about volume? を読んだ感想を書きます。

まず、テーマは「微分同相でない接触構造でReebベクトル場が同じものが存在しますか?」という問いになります。

そして、論文の結論としては、「3次元にはない。9次元以上は可算個作れる。5と7はわからん。*1」と言うものです。

5次元や7次元は、3次元接触多様体のようにトポロジー的な技術がいっぱいあるというわけではなく、接触幾何のちょうどいい次元かなと言う感じがするので、これの5次元から考えてみると面白そうです。

誰か頑張って!

*1:接触構造は奇数次元にしか定義できません。

♠︎: A function f(t) goes from 0 to 1 as t goes from 0 to 1.

こんにちは!GiTaNです。前回更新時からリモート業務開始、緊急事態宣言といろいろありまして、我が家も育児に大忙しとなっております。。。

とりあえず、最近読んだ論文から、こうやって言うんだなというものをメモします。

今回は以下!
ずばり、tが0から1まで動く時、\theta(t) は0から2\pi まで動く!asの使い方参考になるなと思った次第であります笑

  • An angle \theta(t) goes from 0 to 2\pi as t goes from 0 to 1.

これ多分なんでも使えて、例えば0から1になるにつれて増加すると言いたい場合は以下のようになりますね!

  • A function f(t) increases as t goes from 0 to 1.

読んでる論文の中身もまとめていきたいと思います。

以上です

Schlenkサーベイ - 4. Why study symplectic embedding problems その4

こんにちは!GiTaNです!

今日のテーマは、Short term super-recurrence です。*1

Hを時間に依存することも可能な Hamiltonian System として、さらに半径1のボールB^{2n}(1)を保つようなものとします。つまり、Hから\iota_{X_H}\omega=-dHによって定義されるベクトル場X_Hが、ボールの境界(=球面)に接している(つまり、球面上に制限したものが球面上のベクトル場とみなせる)とします。

このとき、時点tのHamiltonian flow\phi_H^tはボール上のHamiltonian diffeoを定義していますが、ここで次の問題を考えます:

離散的な変形の列\{\phi_H^k\}_{k\in \mathbb{Z}}によって、ボールB(a)(ただし、 a > \frac{1}{2}とする)とシンプレクティック同相な開集合Uの像の列\{\phi_H^k(U)\}_{k\in \mathbb{Z}}を作ったときに、U \cap \phi_H^k(U) \neq \emptysetとなる最小のkはなにか?

つまり、U\phi_Hで何回も写していった時に、いつUと被りますか?

っていうことなんですが、シンプレクティック同相が体積を不変にすることを考えるとUの体積は仮定より\frac{1}{2^n}より大きいので、U2^n回目までの像 U,\cdots,\phi_H^{2^n}(U) たちは、それぞれが \frac{1}{2^n} よりも大きい体積を持つので、これらが全て重複しないとすると、U,\cdots,\phi_H^{2^n}(U) たちの体積の合計が全体の体積を超えてしまうので、どっかでは被ってることになります。ハトの巣原理みたいな感じでk2^n-1以下であることが分かるわけなんですが、実はGromovによって次の結果が得られています:

B(a)\coprod B(a)\hookrightarrow B(A) \Rightarrow 2a\leqq A.

これによると、 a > \frac{1}{2}と仮定している場合は、B(a)を被らないようにB(1)へ2つ埋め込むことはできないことになるので、U\cap\phi_H(U)\neq \emptyset になりk=1とわかります。

体積だけだと指数オーダーだったkの評価が、正確にわかっただけでなく1ってやばない?????

同様にして1回目に被りが発生するようなkを体積が有限な領域について考えることで、Volume preserving diffeo と symplectomorphism の境界を考えることができるようになりますが、2,3,4,\cdotsと回数を増やしていくと、いつの間にか埋め込みの自由度が増してきて、n個の領域がすっぽり入るようになるようです。そういえば、4次元のボールの場合は、8個から隙間なく被覆されるようになりましたね。マジかよ。

 

以上!

*1:Why study symplectic embedding problems 全体の目的は、シンプレクティック埋め込みの障害をどうにか見つけよう!ということでした。

Schlenkサーベイ - 4. Why study symplectic embedding problems その3

こんにちは!GiTaNです!

さて前回は Hamiltonian flow を導入しました。Hamiltonian flow\phi_Xに対して、ある関数Hが存在して\iota_X \omega = -dHを満たすので、L_X\omega=d\iota_X\omega+\iota_X d \omega = 0となります。つまり、シンプレクティック形式を保つため、Hamiltonian flowは、各時点でsymplectomorphismになっています。

ということは、GromovのNon-sqeezing theorem から半径rのボールをシリンダーにHamiltonian flowで入れ込もうと思うと半径がr以上じゃないといけないことがわかります。これを物理学的にとらえてみると、物理でよく聞くハイゼンベルグ不確定性原理ライクな表現が得られます。

ざっくりなのですが、不確定性原理とはものの位置と速度を観測したときに、それらの正確さが互いにトレードオフになっているということでした。例えば位置をめちゃめちゃ正確に観測しようとすると速度の誤差を小さくできない、速度をめちゃめちゃ正確に観測しようとすると位置の誤差を小さくできないということです。*1

これは、シンプレクティック多様体が典型的には接束(つまり速度と位置の組みの集合)であることに注意すると、ある点p多様体上のどこにあるかわからず、pを含む領域Uのみがわかっているという風に表現できます。(誤差が小さいほど領域Uは小さくなる)

これが、Hamiltonian flow つまり物理的に実現できる操作によって縮んで行かないわけなので観測誤差はどうやっても減らせないということになります。

なんとなく不確定性原理っぽい!

次回は、そういう領域UがHamiltonian flowでどのように振る舞うのか?見ていきたいと思います。

 

以上!

 

 

*1:普通は誤差を観測の標準偏差として記述されます。

Schlenkサーベイ - 4. Why study symplectic embedding problems その2

こんにちは!GiTaNです!

いつの間にか2月になってしまいました。今日も元気よくSchlenkのサーベイを読んでいきましょう。

今日のテーマは↓
◆What can one do with a Hamiltonian flow?
ということで、シンプレクティック同相の一種であるHamiltonian flowで領域を変形した場合の結果についてザクっと見ていきます。

そもそもHamiltonian flowって何でしょうか?
説明を試みると、flowというのは日本語で言うと積分曲線ということで、何らのベクトル場が多様体上にあったときに、これに沿うように点を動かしていく写像ということになります。これは時間に依存して変化していく写像で、例えばベクトル場Xの時刻tでの積分曲線\phi_t多様体上の点pで任意の滑らかなfについて次を満たすものです:

\frac{d}{dt}|_{t=t}f(\phi_t(p))=X_{\phi_t(p)}(f).

以下では(時間に依存するかもしれない)ベクトル場Xに対して、その積分曲線を\phi_Xと書くことにします。(時点を明記したい時は(\phi_X)_tと書くことにしましょう。変えるかもしれません笑)

このflow\phi_Xのうち、シンプレクティック形式\omegaについて、次を満たす多様体上の関数Hがある時にHamiltonian flowと呼びます:

\iota_X\omega = -dH.

ここで、\iotaは内部積を表します。

なんでHamiltonianと言うかというと、私も詳しくは知らないのですが、もともと大学1年生の物理で習う解析力学という分野のハミルトン力学というのが元になっています。
Wikipediaの記事のpqによってシンプレクティック形式をdp\wedge dq、ベクトル場をX=\dot{p}\frac{\partial}{\partial p}+\dot{q}\frac{\partial}{\partial q}と書いた場合にちょうどハミルトン方程式が上の式になるので、そういう力学を多様体の上に一般化したものというように捉えることができます。

ちょっと物理よりなHamiltonian flowですが、数学としても面白い結果がいろいろ知られているようです!ちょっとずつ見ていこうと思います。

 

以上! 

 

 

 

Schlenkサーベイ - 4. Why study symplectic embedding problems その1

こんにちは!GiTaNです!

年始から忙しくすっかり更新できませんでした(まだ忙しい)が、気を取り直してSchlenk のサーベイを読んでいこうと思います。

今日は4章のシンプレクティック埋め込みを研究するモチベーションについてみていきましょう。楽しみです!

◆ Numerical invariants and the quest for symplectic links
シンプレクティック幾何学にはDarboux(ダルブー)の定理という、シンプレクティック多様体は局所的にはユークリッド空間に標準的なシンプレクティック構造をいれた空間(\mathbb{R}^{2n},\sum dx_i\wedge dy_i)の開集合とシンプレクティック同相になるという定理があります。要するにある種の可積分*1が成り立ち、局所的にはモデル空間と同じものになっているのでリーマン幾何学における曲率のような局所的な不変量は存在しません。

というわけでリーマン多様体のようにとりあえず計算できそうな不変量がないシンプレクティック多様体さんなのですが、何か不変量を作りたい!と思うのが世の常です笑

ここで、登場するのが埋め込みによる不変量です。最も古典的かつ有名なものがGromov widthと呼ばれるものです:

c_B(M,\omega):=\sup\{a|B(a)\hookrightarrow (M,\omega)\}.

 これは今まで埋め込みの問題では、(M,\omega)がシリンダーだったりキューブだったりトーラスだったりしていて、与えられた半径 aを持つボール(ただしくはellipsoid)が埋め込めるようなMの大きさを考えてきましたが、逆に埋め込まれるボールの半径の一番でかいところを考えています。*2

同様にして、埋め込むもの(ボールの部分)を色々取り替えることで不変量を好きなだけ作ることができます。ただ定義するのは簡単なのですが、計算するのが大変すぎるというのが問題点ですね。

そしてその大変な計算をすることで数論や組合せ数学など他の数学と繋がっていくというのが面白いところでした。

ちょうど面白い数学と繋がるような埋め込みを見つけることができれば、楽しい世界が広がっているのかもしれませんね。

 

以上、Numerical invariants and the quest for symplectic links 読んで思ったところでした!

*1:ここで言う可積分性はフロベニウスの定理の意味での可積分性です。シンプレクティック形式が閉であるというのが可積分条件に対応しています。他に可積分幾何学としては、局所的に複素線型空間と同じ多様体を扱う複素幾何学がありますね。ちなみに、リーマン幾何における可積分条件は曲率が0になることです。

*2:ちなみに、逆にせずにu_Z(M,\omega):=\inf\{a|(M,\omega)\hookrightarrow Z(a)\} で定義されるものをuncrtainty と呼ぶようです。名前のとおりハイゼンベルグ不確定性原理と関係がある量のようですが、詳しくは不明。時間があればこれもみてみたいですね。

Cubeと超立方体がSymplectomophicであることの証明を試みる!

こんにちは!GiTaNです!

今日は、リハビリがてら Cube  C(a) := D(a)\times D(a)と超立方体 (0,\sqrt{a})^4 がシンプレクティック同相になることを示していきます!

まず、Disk D(a) :=\{(x,y)|\pi(x^2+y^2)\leqq 1\} と正方形R(a) :=(0,\sqrt{a})^2がシンプレクティック同相になることを言えば十分なので、2次元で考えることにします。

さて、2次元とかめちゃめちゃ低次元なので丸を四角くするだけじゃんと思ってやってみると、明示的に滑らかな写像を作るのはなかなか骨が折れることに気づきます。連続ならできるんだけどなあ・・・たしか、3次元以下の多様体は一意にSmoothingできるので、Homeoな多様体ならばDiffeoになっていることはわかるのでした。よって、何か明示的にはわからないけどD(a)R(a)の間にDiffeoがあることはわかりました。こいつをうまく使ってシンプレクティック同相を作っていけないでしょうか?以下、証明です。

 F:D(a)\rightarrow R(a) を上でとったDiffeomorphismとする。

FはDiffeoなので、一般にSymplectomorphismになっていないはずですが、どうにかしてFを変形してSymplecticにできないか考えてみます。

まず、どうすればSymplecticになるかと言うと、いま次元は2であってシンプレクティック形式=体積要素なので、Fで引き戻した際のヤコビアンが1になっていることとFがSymplectomorphicになることが同値です。*1

ヤコビアンを1にするってどうやるんだという感じなんですが、例えば定義域の変数変換を考えてみると、ヤコビアンを関数倍できそうな気がするのでやってみます。

その前に座標系やFの取り方や記号を準備したいと思います。

  1. ディスクの座標:D(a)の座標は極座標(r,\theta)でとることにします*2
  2. Fの取り直し:Fのヤコビアンが常に正であるようにFを取り直します*3

はい、ここまで準備できたらディスクの変数変換\Phiを考えます。

rを変換するか\thetaを変換するかしたいのですが、いまsymplectic形式がrdr\wedge \thetaなので、\thetaを変換した方が計算が簡単になりそうですので、変数変換\Phi\Phi(r,\theta)=(r,\phi(r,\theta))とかけているとして\phiがどんな条件を満たしていれば良いか考えてみましょう。

\PhiとFの合成\Phi \circ Fがsymplectomophicになっていて欲しいので、(\Phi \circ F)^*\omega_R = J_F(r\cdot\exp(I\cdot \phi(r,\theta)))\cdot \frac{\partial \phi}{\partial \theta} \omega_D = \omega_Dが成立して欲しいわけです。

これをみると、\phiはrを止めるごとに①\frac{d \phi}{d t} = \frac{1}{J_F(r\cdot\exp(i\cdot \phi(r,t)))}の解でなければいけません。

さらに、極座標の変換になっていないといけないので周期が2\piでないといけません。つまり、② \phi(r,t+2\pi)= \phi(r,t)+2\piとなっていて欲しいわけです。

また、初期値を決めるために③\phi(r,0) = 0も仮定しましょう。

まとめると、①〜③式を同時に満たす\phiをさがす問題になります。

このうち、①と③を満たすものは初期値問題を解けば大丈夫で、ヤコビアン逆関数はrを止めるごとに明らかにリプシッツ連続なので、ただ1つの解が存在することがわかります。さらにヤコビアン逆関数は当然滑らかなので、解も滑らかになります。 問題は②を満たしているかと言う点です。

これを示すために唐突なんですが、R(a)の面積について次の等式を考えてみます:

a=area(R(a))=\int_{R(a)}\omega_{R}=\int_{F(D(a))}\omega_{R}=\int_{D(a)}F^*\omega_{R}=\int_{0}^{\sqrt{\frac{a}{\pi}}}rdr \int_{0}^{2\pi}J_F(re^{i\theta})d\theta.

 

さらに、aを便宜的に変数だと思って微分して整理してみると次の式が成立します:

2\pi=\int_{0}^{2\pi}J_F(re^{i\theta})d\theta*4

なんだかいい感じですね!この式中の\thetaを①③を満たす\phiで変換してみると・・・?

2\pi=\int_{0}^{\phi(r,2\pi)}J_F(re^{i\phi(r,\theta)})\frac{d\phi}{d\theta}d\theta = \phi(r,2\pi)

なんか2\piになりました!② \phi(r,t+2\pi)= \phi(r,t)+2\piまでもう少しです。

ここで、\xi(r,t) = \phi(r,t+2\pi)-2\piを考えると:

\frac{d \xi}{d t} =\frac{d \phi}{d t}(r,t+2\pi)= \frac{1}{J_F(r\cdot\exp(i\cdot \phi(r,t+2\phi)))}=\frac{1}{J_F(r\cdot\exp(i\cdot (\phi(r,t+2\phi)+2\pi)))}=\frac{1}{J_F(r\cdot\exp(i\cdot\xi))}
かつ
\xi(r,0) = \phi(r,0+2\pi)-2\pi=0

よって、\xiも①と③を満たしていることがわかります。いま初期値問題①③の解はただ一つしか存在しないため両者は一致します。よって②が成立します。

ながかった、あとは\phiとFを合成すれば・・・と思ったところで残念なお知らせがあります。これ、r=0つまり原点部分の変数変換が定義できてないんですね。この部分には極座標がないので微分方程式が立たないわけです。滑らかに解消できればよいのですが、Fの取り方を原点付近で恒等写像になるように取らないといけないように見えます。もうちょいあと1点だけなんですが恒等写像になるようにとりなおせることを証明するか、別の方法を考えないといけません。意外に難しいな

追記:r方向に変数変換するとできますね!同じ感じの微分方程式をrを変数にして立てれば良さそうです。これで証明できたかな?

*1:式を混ぜて書くとF:symplectomorphic iff \omega_D = F^*\omega_Rである。ここで、F^*\omega_R = J_F\omega_Dかつ\omega_Rはいたるところ0でない2次形式なので、 D(a)J_F = 1であることと同値

*2:正確には、原点を除いた領域の座標

*3:FはDiffeoなのでいたるところヤコビアンは0でなく、定義域が連結なので符号は常に正か負のどちらかになります。もし負であったらディスクの向きを逆向きにするような写像と合成すればOKです

*4:本当はrの部分\sqrt{\frac{a}{\pi}}ですが、aが任意だと思って微分しているのでrでも成立します。本当はもうちょい厳密に考えないといけないですが、結局成立します