数学で英語を勉強するブログ

昔数学を嗜んでいた社会人が苦手な英語の勉強をするブログです。数学の話題も扱っていきます。

Schlenkサーベイ - 4. Why study symplectic embedding problems その3

こんにちは!GiTaNです!

さて前回は Hamiltonian flow を導入しました。Hamiltonian flow\phi_Xに対して、ある関数Hが存在して\iota_X \omega = -dHを満たすので、L_X\omega=d\iota_X\omega+\iota_X d \omega = 0となります。つまり、シンプレクティック形式を保つため、Hamiltonian flowは、各時点でsymplectomorphismになっています。

ということは、GromovのNon-sqeezing theorem から半径rのボールをシリンダーにHamiltonian flowで入れ込もうと思うと半径がr以上じゃないといけないことがわかります。これを物理学的にとらえてみると、物理でよく聞くハイゼンベルグ不確定性原理ライクな表現が得られます。

ざっくりなのですが、不確定性原理とはものの位置と速度を観測したときに、それらの正確さが互いにトレードオフになっているということでした。例えば位置をめちゃめちゃ正確に観測しようとすると速度の誤差を小さくできない、速度をめちゃめちゃ正確に観測しようとすると位置の誤差を小さくできないということです。*1

これは、シンプレクティック多様体が典型的には接束(つまり速度と位置の組みの集合)であることに注意すると、ある点p多様体上のどこにあるかわからず、pを含む領域Uのみがわかっているという風に表現できます。(誤差が小さいほど領域Uは小さくなる)

これが、Hamiltonian flow つまり物理的に実現できる操作によって縮んで行かないわけなので観測誤差はどうやっても減らせないということになります。

なんとなく不確定性原理っぽい!

次回は、そういう領域UがHamiltonian flowでどのように振る舞うのか?見ていきたいと思います。

 

以上!

 

 

*1:普通は誤差を観測の標準偏差として記述されます。