Schlenkサーベイ - 4. Why study symplectic embedding problems その1
こんにちは!GiTaNです!
年始から忙しくすっかり更新できませんでした(まだ忙しい)が、気を取り直してSchlenk のサーベイを読んでいこうと思います。
今日は4章のシンプレクティック埋め込みを研究するモチベーションについてみていきましょう。楽しみです!
◆ Numerical invariants and the quest for symplectic links
シンプレクティック幾何学にはDarboux(ダルブー)の定理という、シンプレクティック多様体は局所的にはユークリッド空間に標準的なシンプレクティック構造をいれた空間の開集合とシンプレクティック同相になるという定理があります。要するにある種の可積分性*1が成り立ち、局所的にはモデル空間と同じものになっているのでリーマン幾何学における曲率のような局所的な不変量は存在しません。
というわけでリーマン多様体のようにとりあえず計算できそうな不変量がないシンプレクティック多様体さんなのですが、何か不変量を作りたい!と思うのが世の常です笑
ここで、登場するのが埋め込みによる不変量です。最も古典的かつ有名なものがGromov widthと呼ばれるものです:
これは今まで埋め込みの問題では、がシリンダーだったりキューブだったりトーラスだったりしていて、与えられた半径を持つボール(ただしくはellipsoid)が埋め込めるようなの大きさを考えてきましたが、逆に埋め込まれるボールの半径の一番でかいところを考えています。*2
同様にして、埋め込むもの(ボールの部分)を色々取り替えることで不変量を好きなだけ作ることができます。ただ定義するのは簡単なのですが、計算するのが大変すぎるというのが問題点ですね。
そしてその大変な計算をすることで数論や組合せ数学など他の数学と繋がっていくというのが面白いところでした。
ちょうど面白い数学と繋がるような埋め込みを見つけることができれば、楽しい世界が広がっているのかもしれませんね。
以上、Numerical invariants and the quest for symplectic links 読んで思ったところでした!