数学で英語を勉強するブログ

昔数学を嗜んでいた社会人が苦手な英語の勉強をするブログです。数学の話題も扱っていきます。

Cubeと超立方体がSymplectomophicであることの証明を試みる!

こんにちは!GiTaNです!

今日は、リハビリがてら Cube  C(a) := D(a)\times D(a)と超立方体 (0,\sqrt{a})^4 がシンプレクティック同相になることを示していきます!

まず、Disk D(a) :=\{(x,y)|\pi(x^2+y^2)\leqq 1\} と正方形R(a) :=(0,\sqrt{a})^2がシンプレクティック同相になることを言えば十分なので、2次元で考えることにします。

さて、2次元とかめちゃめちゃ低次元なので丸を四角くするだけじゃんと思ってやってみると、明示的に滑らかな写像を作るのはなかなか骨が折れることに気づきます。連続ならできるんだけどなあ・・・たしか、3次元以下の多様体は一意にSmoothingできるので、Homeoな多様体ならばDiffeoになっていることはわかるのでした。よって、何か明示的にはわからないけどD(a)R(a)の間にDiffeoがあることはわかりました。こいつをうまく使ってシンプレクティック同相を作っていけないでしょうか?以下、証明です。

 F:D(a)\rightarrow R(a) を上でとったDiffeomorphismとする。

FはDiffeoなので、一般にSymplectomorphismになっていないはずですが、どうにかしてFを変形してSymplecticにできないか考えてみます。

まず、どうすればSymplecticになるかと言うと、いま次元は2であってシンプレクティック形式=体積要素なので、Fで引き戻した際のヤコビアンが1になっていることとFがSymplectomorphicになることが同値です。*1

ヤコビアンを1にするってどうやるんだという感じなんですが、例えば定義域の変数変換を考えてみると、ヤコビアンを関数倍できそうな気がするのでやってみます。

その前に座標系やFの取り方や記号を準備したいと思います。

  1. ディスクの座標:D(a)の座標は極座標(r,\theta)でとることにします*2
  2. Fの取り直し:Fのヤコビアンが常に正であるようにFを取り直します*3

はい、ここまで準備できたらディスクの変数変換\Phiを考えます。

rを変換するか\thetaを変換するかしたいのですが、いまsymplectic形式がrdr\wedge \thetaなので、\thetaを変換した方が計算が簡単になりそうですので、変数変換\Phi\Phi(r,\theta)=(r,\phi(r,\theta))とかけているとして\phiがどんな条件を満たしていれば良いか考えてみましょう。

\PhiとFの合成\Phi \circ Fがsymplectomophicになっていて欲しいので、(\Phi \circ F)^*\omega_R = J_F(r\cdot\exp(I\cdot \phi(r,\theta)))\cdot \frac{\partial \phi}{\partial \theta} \omega_D = \omega_Dが成立して欲しいわけです。

これをみると、\phiはrを止めるごとに①\frac{d \phi}{d t} = \frac{1}{J_F(r\cdot\exp(i\cdot \phi(r,t)))}の解でなければいけません。

さらに、極座標の変換になっていないといけないので周期が2\piでないといけません。つまり、② \phi(r,t+2\pi)= \phi(r,t)+2\piとなっていて欲しいわけです。

また、初期値を決めるために③\phi(r,0) = 0も仮定しましょう。

まとめると、①〜③式を同時に満たす\phiをさがす問題になります。

このうち、①と③を満たすものは初期値問題を解けば大丈夫で、ヤコビアン逆関数はrを止めるごとに明らかにリプシッツ連続なので、ただ1つの解が存在することがわかります。さらにヤコビアン逆関数は当然滑らかなので、解も滑らかになります。 問題は②を満たしているかと言う点です。

これを示すために唐突なんですが、R(a)の面積について次の等式を考えてみます:

a=area(R(a))=\int_{R(a)}\omega_{R}=\int_{F(D(a))}\omega_{R}=\int_{D(a)}F^*\omega_{R}=\int_{0}^{\sqrt{\frac{a}{\pi}}}rdr \int_{0}^{2\pi}J_F(re^{i\theta})d\theta.

 

さらに、aを便宜的に変数だと思って微分して整理してみると次の式が成立します:

2\pi=\int_{0}^{2\pi}J_F(re^{i\theta})d\theta*4

なんだかいい感じですね!この式中の\thetaを①③を満たす\phiで変換してみると・・・?

2\pi=\int_{0}^{\phi(r,2\pi)}J_F(re^{i\phi(r,\theta)})\frac{d\phi}{d\theta}d\theta = \phi(r,2\pi)

なんか2\piになりました!② \phi(r,t+2\pi)= \phi(r,t)+2\piまでもう少しです。

ここで、\xi(r,t) = \phi(r,t+2\pi)-2\piを考えると:

\frac{d \xi}{d t} =\frac{d \phi}{d t}(r,t+2\pi)= \frac{1}{J_F(r\cdot\exp(i\cdot \phi(r,t+2\phi)))}=\frac{1}{J_F(r\cdot\exp(i\cdot (\phi(r,t+2\phi)+2\pi)))}=\frac{1}{J_F(r\cdot\exp(i\cdot\xi))}
かつ
\xi(r,0) = \phi(r,0+2\pi)-2\pi=0

よって、\xiも①と③を満たしていることがわかります。いま初期値問題①③の解はただ一つしか存在しないため両者は一致します。よって②が成立します。

ながかった、あとは\phiとFを合成すれば・・・と思ったところで残念なお知らせがあります。これ、r=0つまり原点部分の変数変換が定義できてないんですね。この部分には極座標がないので微分方程式が立たないわけです。滑らかに解消できればよいのですが、Fの取り方を原点付近で恒等写像になるように取らないといけないように見えます。もうちょいあと1点だけなんですが恒等写像になるようにとりなおせることを証明するか、別の方法を考えないといけません。意外に難しいな

追記:r方向に変数変換するとできますね!同じ感じの微分方程式をrを変数にして立てれば良さそうです。これで証明できたかな?

*1:式を混ぜて書くとF:symplectomorphic iff \omega_D = F^*\omega_Rである。ここで、F^*\omega_R = J_F\omega_Dかつ\omega_Rはいたるところ0でない2次形式なので、 D(a)J_F = 1であることと同値

*2:正確には、原点を除いた領域の座標

*3:FはDiffeoなのでいたるところヤコビアンは0でなく、定義域が連結なので符号は常に正か負のどちらかになります。もし負であったらディスクの向きを逆向きにするような写像と合成すればOKです

*4:本当はrの部分\sqrt{\frac{a}{\pi}}ですが、aが任意だと思って微分しているのでrでも成立します。本当はもうちょい厳密に考えないといけないですが、結局成立します