数学で英語を勉強するブログ

昔数学を嗜んでいた社会人が苦手な英語の勉強をするブログです。数学の話題も扱っていきます。

【趣味】シンプレクティック埋め込み可能性のCriterionについて

こんにちは!GiTaNです!

趣味色がかなり濃くなってきましたが、前回に引き続き、下記レクチャーノートを読んでいきたいと思います笑

[1303.5789] Lecture notes on embedded contact homology

 

前回は、McDuffによる埋め込み可能性のCriterion*1まで読んでいきました。

ここで、記号の復習をしておくと次のような対象を考えていたのでした:

  • E(a,b) := \{(z_1,z_2)\in C^2| \pi(\frac{\|z_1\|^2}{a}+\frac{\|z_2\|^2}{b}) \leqq 1 \}: ellipsoid
  •  N(a,b): abの非負整数上の線形和を重複を許して小さい順にならべた数列
  •  N(a,b)\leqq N(c,d): 各kについてN(a,b)_k\leqq N(c,d)_kを満たす。ただし、数列Aに対してA_kk番目の項を表す

さて、McDuffのCriterionにも問題はあって、それは一般にいつN(a,b)\leqq N(c,d)になるのかというのかは、自明な問題ではないということです。

これを少し単純化した状況で明らかにしたのが、またMcDuffなんですね。

定理を述べる前に、状況の説明をします。

まず、一般のabcdではなく、E(1,a)を4次元のボールB(c):=E(c,c)に埋め込みたいという状況を考えます。

この時f:[1,\infty)\to[1,\infty)という関数をE(1,a)B(c)に埋め込めるような cの下限*2として定義します。

McDuff-Schlenkfを明示的に計算することに成功しています。

それによると次が成立します:

Theorem[McDuff-Schlenk*3]

  • a\in[1,(\frac{1+\sqrt{5}}{2})^4)のとき、fは区分的に線形な関数で、"Fibonacci Staircase(フィボナッチ階段)"によって決定される
  • a\in[(\frac{1+\sqrt{5}}{2})^4,(\frac{17}{6})^2]のとき、有限の区分に分割できてそれぞれの上で線形であるか、\sqrt{a}である
  • a\in[(\frac{17}{6})^2,\infty)のとき、\sqrt{a}である

ここで黄金比*4出てくるの結構アツいポイントですね(謎)

 

ここからは完全に余談ですが、元の数列にどういうことが言えるか考えてみると楽しそうです。

 

以上!完全に趣味に走りましたが、間違い等あればご連絡いただければ幸いです!

*1:E(a,b) の内部がE(c,d)にシンプレクティック埋め込み可能である必要十分条件はすべてのkについてN(a,b)k≦N(c,d)kとなることであるという定理

*2:要するに、 f(a) := \inf\{c|N(1,a)\leqq N(c,c)\}

*3:The embedding capacity of 4-dimensional symplectic ellipsoids, Ann. of Math. 175 (2012), 1191-1282

*4:ちなみにレクチャーノートでは微妙に黄金比じゃない書き方になってるのですが、誤植と思われます